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女性の薄毛に内服薬(パントガール・ミノキシジル)は効果ある?種類や副作用などを解説

女性の薄毛は年齢を問わず多くの方が抱える悩みです。

鏡を見るたびに、生え際の薄さや分け目の広がりが気になることがあります。

薄毛は医師による適切な治療によって現状維持や部分的な改善が見込める場合があります。

内服薬による治療は、体の内側から髪の成長をサポートする選択肢の一つです。

この記事では、女性の薄毛治療で用いられる内服薬の種類、それぞれの特徴や注意点、安全に治療を進めるためのポイントについて詳しく解説します。

目次

女性の薄毛(FAGA/びまん性脱毛症)の種類と原因

女性の薄毛は、男性の薄毛とは異なり、その症状や原因も多岐にわたります。

主なタイプとして「FAGA(女性男性型脱毛症)」と「びまん性脱毛症」が挙げられます。

それぞれの特徴と原因を理解することが、適切な治療法を見つける第一歩です。

FAGA(女性男性型脱毛症)について

FAGAとは「Female Androgenetic Alopecia」の略で、女性男性型脱毛症を指します。

男性のAGA(男性型脱毛症)とは異なり、生え際が後退したり頭頂部が完全に薄くなったりするよりも、頭頂部から前頭部にかけて髪全体が細くなり、密度が薄くなることが特徴です。

主な原因として、ホルモンバランスの変化が挙げられます。

特に、加齢や更年期による女性ホルモンの減少が、男性ホルモンの影響を受けやすくする要因の一つと考えられています。

遺伝的要因もFAGAの発症に関わっているとされています。

びまん性脱毛症について

びまん性脱毛症は、特定の部位だけでなく、頭部全体の髪の毛が均一に薄くなる脱毛症です。

FAGAと異なり、髪の毛が全体的に細く、抜け毛が増えることでボリュームが失われます。

びまん性脱毛症の原因は多岐にわたり、ストレス、睡眠不足、過度なダイエットによる栄養不足、自己免疫疾患、甲状腺機能の異常、出産後のホルモン変化などが挙げられます。

鉄分不足もびまん性脱毛症の一因となることがあります。

生活習慣の乱れが影響することも少なくありません。

鉄欠乏は日本人女性に比較的多い栄養問題で、厚労省の解説1でも不足時のさまざまな症状が示されます。
びまん性の抜け毛が続く場合、食事改善とともに医療機関での評価が有用です。

薄毛治療で処方される主要な内服薬の種類

女性の薄毛治療で処方される内服薬には、いくつかの種類があります。

それぞれの薬には異なる作用があり、使用する際の注意事項も異なります。

ここでは、代表的な内服薬について詳しく見ていきましょう。

パントガール

パントガールは、ドイツの製薬会社によって開発された栄養補助を目的とする内服薬です。

髪の毛の成長に必要な栄養素を補給することで、抜け毛を減らし、健康な髪の成長をサポートする成分が配合されています。

主成分は、毛髪や爪の主要な構成要素であるケラチン、酵母、L-シスチン、そしてビタミンB群(パントテン酸カルシウム、チアミン硝化物)などです。

これらの成分が毛母細胞に栄養を供給し、毛髪の生成サイクルをサポートすることで、コシのある太い髪への成長をサポートします。

パントガールは日本では未承認医薬品であり、医師が個人輸入にて処方する薬剤です。

ごく稀に、頭痛や腹痛、吐き気などの症状が見られる場合があります。

ミノキシジル内服薬(ミノキシジルタブレット)

ミノキシジル内服薬、通称ミノキシジルタブレットは、血管拡張作用を持つ薬として知られています。

元々は高血圧の治療薬として開発されましたが、その作用により薄毛治療に応用されるようになりました。

血管拡張作用により頭皮の血流を増加させ、毛母細胞へ栄養や酸素の供給を促進することで、発毛をサポートします。

ただし、多毛症(全身の毛が濃くなる)、むくみ、動悸、心臓への負担などのリスクがあります。

日本では薄毛治療薬としては未承認であり、医師の慎重な判断と厳重な管理のもとでのみ処方されます。

個人輸入での入手は健康被害のリスクが高いため、推奨されません。

スピロノラクトン

スピロノラクトンは、元々利尿薬として使用される薬ですが、その抗男性ホルモン作用により、女性の薄毛治療に用いられることがあります。

特に、FAGAのように男性ホルモンの影響が薄毛の原因となっている場合に使用されます。

体内の男性ホルモン(アンドロゲン)の働きを抑えることで、毛根への影響を抑制し、抜け毛の予防や髪の成長をサポートします。

利尿作用による頻尿、血圧低下、電解質バランスの乱れ(高カリウム血症)などのリスクがあります。

特に心臓疾患や腎疾患のある方は使用できない場合があるため、医師との十分な相談が必要です。

薄毛治療における使用は適応外使用となり、保険適用外となります。

薬剤名特徴主な注意点日本国内での地位
パントガール栄養補助による髪の成長サポート頭痛、腹痛等が稀に報告未承認医薬品
ミノキシジル内服薬血管拡張による毛母細胞への栄養供給多毛症、むくみ、動悸等のリスク未承認医薬品
スピロノラクトン抗男性ホルモン作用頻尿、血圧低下、電解質異常適応外使用

内服薬治療における経過と治療継続について

薄毛治療は、すぐに変化が現れるものではありません。

内服薬による治療も同様に、変化を実感するまでに一定の期間が必要です。

治療を成功させるためには、その期間と継続の重要性を理解しておくことが大切です。

変化を実感するまでの期間

内服薬による薄毛治療の変化を実感できるようになるまでには、一般的に3ヶ月から6ヶ月程度の期間が必要とされます。

これは、髪の毛の成長サイクルが関係しているためです。

髪の毛は、成長期、退行期、休止期というサイクルを繰り返しており、内服薬は主に成長期の髪の毛を増やしたり、休止期の髪の毛が成長期に移行するのを促したりすることで作用します。

治療を開始してすぐに「抜け毛が減った」「髪が増えた」と感じることは多くありません。

最初の数週間から数ヶ月で、初期脱毛と呼ばれる一時的な抜け毛の増加が見られることもありますが、これは治療が開始された証拠であり、その後新しい髪が生え始めるサインです。

焦らず、医師の指示に従うことが重要です。

治療の継続が必要な理由

薄毛治療は、一度変化が出たらそれで終わりというものではありません。

内服薬の作用は、服用を続けている期間において維持されることがほとんどです。

服用を中止すると、再び薄毛が進行してしまう可能性が高いため、状態を維持するためには継続的な服用が必要です。

長期的な視点で治療に取り組むことが、理想的な状態を維持するためには重要です。

費用や通院の手間などが負担に感じることもあるかもしれませんが、医師と相談しながら、自身のライフスタイルに合わせた治療計画を立て、継続できる方法を見つけることが大切です。

市販薬と内服薬の違いと専門クリニックでの治療について

薄毛ケアには市販の育毛剤やサプリメントもありますが、内服薬による治療とは根本的に異なります。

適切な治療を受けるためには、専門クリニックを受診し、医師の診断に基づいて適切な処方を受けることが重要です。

市販の育毛剤と内服薬の根本的な違い

市販の育毛剤や養毛剤は、頭皮環境を整えたり、血行を促進したりすることで、抜け毛の予防や健康な髪の成長をサポートする目的で使用されます。

多くの場合、医薬部外品や化粧品に分類され、医薬品とは異なる分類です。

一方、内服薬は、体の内側から作用し、毛母細胞に働きかけたり、ホルモンバランスに影響を与えたりすることで、薄毛にアプローチする医薬品です。

薄毛の根本原因にアプローチするため、市販品とは異なるアプローチが期待できる点が違いです。

制度上2も位置づけが異なり、医薬品は「疾病の治療」を目的に有効性・安全性の審査を経て承認されます。

一方で市販の多くを占める医薬部外品(いわゆる“薬用”表示)は、主に予防・衛生目的で、効能や作用の範囲が医薬品より限定されます。

目的と強さの違いを理解して選ぶことが重要です。

専門医による診断と処方が必要な理由

女性の薄毛は、FAGA、びまん性脱毛症、円形脱毛症、牽引性脱毛症など、さまざまな種類があり、それぞれ原因も治療法も異なります。

自己判断で内服薬を選んでしまうと、適切な結果が得られないばかりか、不適切な薬の服用により健康を害するリスクもあります。

専門のクリニックでは、医師が問診や頭皮の状態を詳しく診断し、薄毛の種類と原因を特定します。

その上で、患者さん一人ひとりの状態や体質に合わせて、最も適切で安全な内服薬を処方します。

定期的な診察を通じて、治療の進捗状況を確認し、必要に応じて薬の量や種類を調整することも可能です。

個人輸入のリスクと注意点

インターネットを通じて海外から個人輸入できる薄毛治療薬も存在しますが、これは注意が必要な行為です。

個人輸入された薬は、日本の医薬品としての承認を得ていないため、品質、安全性が保証されていません。

偽造品や不純物が混入している可能性があり、予期せぬ重篤な副作用を引き起こすことがあります。

また、適切な使用方法や用量が分からず、過剰摂取による健康被害も報告されています。

万が一、健康被害が生じた場合でも、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となるため、医療費などの補償を受けることができません。

安全かつ確実に薄毛治療を行うためには、必ず医療機関を受診し、医師の処方に基づいて薬を使用してください。

女性の薄毛治療で内服薬以外に検討できるアプローチ

薄毛治療は内服薬だけではありません。

内服薬と併用することで相乗作用が期待できる外用薬や、クリニックで行われる専門的な治療、さらには日々の生活習慣の改善も、薄毛の改善に大きく貢献します。

外用薬(ミノキシジル外用薬など)

内服薬に抵抗がある方や、より積極的に発毛をサポートしたい場合には、外用薬の併用が選択肢となります。

代表的な外用薬としては、ミノキシジル外用薬があります。

これは内服薬のミノキシジルとは異なり、直接頭皮に塗布することで、頭皮の血行を促進し、毛母細胞を活性化して発毛をサポートします。

国内で承認されているミノキシジル外用薬は、女性の場合、濃度1%のものが一般的です。

内服薬ほどの強い全身作用はありませんが、稀にかゆみや炎症などの頭皮トラブルが起こることがあります。

医師の指導のもと、正しく使用することが重要です。

その他の治療法(メソセラピー、HARG療法、PRP療法など)

クリニックでは、内服薬や外用薬以外にも、より専門的な治療法を提供しています。

メソセラピーは、頭皮に直接、発毛に有効とされる成分(成長因子、ビタミン、ミネラルなど)を注入する治療法です。

薬剤が毛根に直接届くため、特定の作用が期待されます。

HARG療法(Hair Re-generative Therapy)は、幹細胞から抽出した成長因子を頭皮に注入することで、毛髪の再生をサポートする再生医療です。

PRP療法(多血小板血漿療法)は、患者さん自身の血液から抽出した血小板を高濃度に凝縮し、成長因子を豊富に含むPRPを頭皮に注入することで、毛母細胞の活性化をサポートする治療です。

これらの注入系治療は、施設や手技により効果のばらつきが大きく、保険適用の標準治療には位置づけられていません。3

リスクと費用を十分理解したうえで検討しましょう。

生活習慣の改善(食事、睡眠、ストレス管理)

内服薬や専門治療と並行して、日々の生活習慣を見直すことも薄毛改善には不可欠です。

バランスの取れた食事は、髪の健康を維持するために重要です。

タンパク質(肉、魚、大豆製品)、ビタミン(緑黄色野菜、果物)、ミネラル(海藻類、ナッツ類)を意識して摂取しましょう。

特に、亜鉛や鉄分は髪の成長に必要な栄養素です。

十分な睡眠も重要です。

髪の成長ホルモンは、夜間の深い睡眠中に多く分泌されます。

質の良い睡眠を確保することで、体全体の細胞修復と再生が促され、健やかな髪の成長に繋がります。

ストレスは、自律神経の乱れや血行不良を引き起こし、薄毛を悪化させる要因となります。

適度な運動、趣味の時間、リラクゼーションなどを取り入れ、ストレスを上手に管理することが大切です。

  1. バランスの取れた栄養摂取
  2. 質の良い十分な睡眠
  3. 適度な運動とストレス管理
  4. 規則正しい生活リズム

薄毛の女性と内服薬に関するよくある質問

薄毛治療の内服薬は、服用を中止するとどうなりますか?

薄毛治療の内服薬は、服用を中止すると、多くの場合、薬による作用が失われ、薄毛が再び進行する可能性があります。

これは、薬が作用している間だけ状態が維持されるためです。

治療の継続性について、事前に医師とよく相談することが大切です。

内服薬による治療で、妊娠中に注意すべきことはありますか?

妊娠中または妊娠の可能性がある方は、薄毛治療の内服薬の服用は原則として避けるべきです。

一部の薬は胎児に影響を与える可能性があるため、医師に必ず申告し、指示に従ってください。

授乳中の場合も同様に注意が必要です。

内服薬治療中に、他の薬を飲んでも大丈夫ですか?

内服薬治療中に他の薬を服用する際は、必ず事前に医師や薬剤師に相談してください。

薄毛治療薬と他の薬との間に相互作用があり、作用が弱まったり、予期せぬ副作用が出たりする可能性があります。

市販薬やサプリメントであっても、必ず伝えてください。

内服薬の作用をより高めるためにできることはありますか?

内服薬の作用をより高めるためには、規則正しい生活習慣を心がけることが重要です。

バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス管理を意識しましょう。

また、ミノキシジル外用薬など、他の治療法との併用も医師と相談することで検討できます。

薄毛治療の内服薬は、保険適用になりますか?

女性の薄毛治療、特に美容目的とみなされるFAGAやびまん性脱毛症の内服薬は、基本的に保険適用外となる自由診療です。

そのため、薬代や診察料などは全額自己負担となります。

治療を開始する前に、費用の総額についてクリニックで確認することをおすすめします。

女性の薄毛に内服薬(パントガール・ミノキシジル)は効果ある?のまとめ

女性の薄毛は、多くの人にとって深い悩みですが、適切な内服薬による治療で現状維持や部分的な改善が見込める場合があります。

パントガール、ミノキシジル内服薬、スピロノラクトンなど、それぞれの薬には異なる特徴と注意点があります。

特にミノキシジル内服薬のように国内未承認の薬や個人輸入には大きなリスクが伴うため、決して自己判断で使用しないことが大切です。

薄毛治療を成功させるためには、まず専門のクリニックを受診し、医師による正確な診断を受けることが不可欠です。

ご自身の薄毛のタイプや原因を特定し、最適な内服薬を選んでもらうことで、安全に治療を進めることができます。

変化を実感するまでに時間がかかる場合もありますが、焦らず医師の指示に従い、継続して治療に取り組むことが美しい髪を取り戻す鍵となります。

専門医に相談し、適切な治療と生活習慣の改善を通じて、自信を取り戻してください。

脚注

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」 ↩︎
  2. PMDA「医薬部外品の定義と審査(令和6年度版)」 ↩︎
  3. 日本皮膚科学会ガイドライン ↩︎
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この記事を書いた人

女性の薄毛やAGAに悩む方の力になりたいという思いから、このメディアを立ち上げました。このサイトでは、役立つ情報や体験談、ケアのポイントをわかりやすく発信し、同じ悩みを抱える女性が安心して選択できるようお手伝いします。髪の悩みを一人で抱え込まず、希望を持って毎日を過ごしていただけるよう願っています。

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